4.再会のレベランス
こうして久方ぶりの観劇の予定が決まるも、カウフマンはその間も、普段と変わりなく職務をこなし、公演前日の夜には街の郊外に現れた夜鬼を退治していた。出没した位置、大きさや特徴などを記録したのち、聖油をかけて灰になるまで燃やし、危なげなく帰宅。…
ロクスブルギーの棺 小説 舞台編
3.追憶のヴァリアシオン
「――そういうわけで、劇のチケットを貰ったんだ」「ふうん」 再び鉄道を乗り継ぎ、日暮れ過ぎに家に帰ったカウフマンは、食卓で首都での出来事をロクスブルギーに語って聞かせた。吸血鬼はチケットを手に取って、常と変わらない淡白な表情でそれを眺めてい…
ロクスブルギーの棺 小説 舞台編
2.邂逅のアクテュール
各地の支部に駐在している審問官は、定期的に首都の本部に報告書を提出するようになっている。この報告書というのが、率直に言って面倒臭い。支部に提出している日常業務の報告書は非常に簡素なもので、日常生活を圧迫するような手間がかかることはほとんど…
ロクスブルギーの棺 小説 舞台編
彼女の住処
( 現代パロディ / モデルのロクスブルギー♀と大学生のルー )
『吸血鬼』の生活には何かと不便が付きまとう。 その手助けのために、彼は彼女の住処を訪れたが……。
パロディ ロクスブルギーの棺性転換あり,現代パロディ
4.君にかけた呪い
身支度を整え、陽が傾いた頃に家を出た。 電車内は帰宅する学生たちで賑わっていて、どことなく懐かしいような気持ちになる。 高校までの学生生活は、特段充実したものではなかった。放課後に、制服を着たまま日渡家へ立ち寄っては、燦と一緒に過ごした日…
アイムホーム 小説
3.ボーイミーツガールは始まらない
『フェリーチェ』は、繁華街から少し離れた場所にある、隠れ家的イタリアンレストランだ。各地の名店を渡り歩いて修行したオーナーが開いた小さな店である。素材にこだわり抜いた料理と、非日常を演出するアンティーク調のインテリアが注目を集め、近隣では…
アイムホーム 小説
2.幸せは決して歩いて来ないから
絵を描くという行為は、それをしない人が想像するよりも遥かに、心身を削る行為だ。それ故に、ひと仕事終えた時の解放感は計り知れない。出展する予定の絵を描き終えたので、久しぶりに今日は休日らしい休日を送っている。 同居人がバイトに出かけていくの…
アイムホーム 小説
1.君はまるで神様で、
無機質なアラームの音が、意識の遠くで聞こえる。枕元に置いたスマートホンを弄る手つきは慣れたもので、ものの数秒でアラームを停止させる。嫌だ。まだ寝ていたい。だってまだバイトの時間までは余裕があるし、そのバイト先まではバイクを飛ばしてたったの…
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