小説

2.幸せは決して歩いて来ないから

 絵を描くという行為は、それをしない人が想像するよりも遥かに、心身を削る行為だ。それ故に、ひと仕事終えた時の解放感は計り知れない。出展する予定の絵を描き終えたので、久しぶりに今日は休日らしい休日を送っている。 同居人がバイトに出かけていくの…

1.君はまるで神様で、

 無機質なアラームの音が、意識の遠くで聞こえる。枕元に置いたスマートホンを弄る手つきは慣れたもので、ものの数秒でアラームを停止させる。嫌だ。まだ寝ていたい。だってまだバイトの時間までは余裕があるし、そのバイト先まではバイクを飛ばしてたったの…