ロクスブルギーの棺

4.その瞼が開くとき

 その中に本当に吸血鬼がいると知ってからは、度々真夜中にその部屋を訪れて、棺に語りかけていた。寂しかったからだ。子供っぽいと言われればそれまでだが、子供だったのだから仕方ない。どれだけ声をかけても返事が返ってくることはなかったが、何も変わら…

3.隠者の告白

 その老人は、人目を憚りながら生活をしていた。代々築いてきた名声は朽ち果て、資産であった骨董や宝飾も、多くを手放すこととなってしまった。片田舎の小さな小屋で、残っている僅かな宝物を手慰みのように愛でながら、時折骨董仲間との文通や取引をして過…

2.かつてその中には

 ――『ロクスブルギーの棺』は、それなりの期間、家に保管されていた。母が死んでからというもの、父は奇妙な宝物などを集めて仲間うちで自慢し合うのが趣味だったので、その棺もそういった理由で手に入れたものらしかった。しかし、その棺は宝物を飾る部屋…

1.棺

 かつてその中には吸血鬼がいた―― 骨董屋に並ぶその美しい――と表現するのが適当かはさておいて――棺には、そのような曰くがあった。 『吸血鬼ドラクル』は、『夜鬼ナイトゴーント』と総称される、化け物の一種である。最大の特徴は、人間の血を糧とす…